井戸の茶碗

これは、無欲な人ばかり出てくる落語としては非常に珍しい噺でして、どうしてこうも皆さん欲が無いのか、ってくらい正直者ばかりです。
落語の中では大概揶揄の対象になっている武士(浪人)もここでは貧乏で清廉潔白な人間であり、屑屋も商売人とは思えないほどの馬鹿正直な人です。
こういう登場人物なので、噺の方も後味が良くさわやかな気分になれます。昔からかなり盛んに演じられてきたのも嫌みの無い内容に拠るところが大きいのでしょう。
井戸の茶碗というのは高麗茶碗の中でも最高級の品で、興福寺の寺侍井戸氏所有の茶碗が名高いところからこう呼ばれるようになったそうです。


古今亭志ん生さんの得意演目として有名でしたが、現在はいろんな人が演じているようです。先日は某BSで柳家権太楼師匠も演じていました。古今亭志ん生 名演大全集 5 大工調べ/鮑のし/井戸の茶碗