エドワード三世

ここ10年くらいの間にほぼシェイクスピア作品として認識されるようになった戯曲「エドワード三世」(原題THE REIGN OF KING EDWARD THE THIRD)の本邦初訳(河合祥一郎)を読みました。昨年出た本ですがなかなか時間がとれず、漸く最近になって読むことが出来ました。
ガーター勲章*1でも名高い14世紀のイングランドエドワード三世がソールズベリー伯爵夫人への恋の誘惑を断ち切ってフランスに勝利するまでを息子の黒太子エドワードのエピソードも交えて描いた作品です。
従来いろいろ論議されてきたようですが、どうやらシェイクスピア作品とみなすのが本流となったようです。
比較的初期の作品になるらしく、大体「ヘンリー六世」三部作と「リチャード三世」の間に書かれたと推測されるそうです。
作品としても伯爵夫人との駆け引きの場面や、後の「ハムレット」を彷彿とさせる黒太子の人生観などなかなか手応えのあるものになっています。シェイクスピア好きな人なら是非読んでみるべきでしょう。
日本では1998年に上野学園で原語上演されました。私もいずれ機会を見つけて原語でも読んでみたいと思っています。

*1:1347年にエドワード三世がソールズベリー伯爵夫人が舞踏会でガーターを落として周りの嘲りの視線に困っていたのを救うために、直ちにその青いガーターを拾い上げ自分の膝の下に着けて「Honni soit qui mal y pense」(思い邪なる者に災いあれ)と戒めたというエピソードが残っている。その翌年に創設された騎士団の名前の語源となった。因みにブルーリボン賞ブルーリボンとはこのガーター勲章のこと。