ミーントーン

鍵盤楽器のいわゆる調律に於いて、いかに純正な3度音程を実現させるか、という問題があるわけですが、これに対する一つの案としてミーントーン(中全音律)があります。
純正な完全5度音程(2/3)を循環させてゆくともとの音に戻った時に24セントほど高くなってしまいます。
また完全5度音程を4回循環させるとピタゴラス律による3度音程が出来ますが、これは純正3度音程と22セントの差があります。
そこでこの22セントを4等分した5.5セント分完全5度を狭くします。
そうすると簡単にまとめれば8種類の3和音が出来ます。
例えばCの音から始めるとすると、5.5セント狭い完全5度を循環してEの音を導き出します。このCとEの関係は純正な3度となります。
同じ事をG,D,A Eと続け、今度はCからF,B♭,E♭と続けていくとそれぞれの3度が純正となって合計8種類となります。
このミーントーンを使うと、G#-E♭間がとてつもなく広い5度になってしまう他は少し狭い5度で統一されるし、使える調性の幅も広がり、微妙な各調性間の響きの違いもでてくる為に、バロックから古典派の作曲家までとても愛用されました。
上記の8種類以外の調を主調にしていないこの時代の作曲家はミーントーンを念頭においていたと考えられるわけです。
参考  この場合の各音間のセントの値
C-75.5-C#-117.5-D-117.5-D#(E♭)-75.5-E-117.5-F-75.5-F#-117.5-G-117.5-G#(A♭)-75.5-A-117.5-B♭-75.5-B-117.5-C
白鍵だけならば全音間は193、半音間は117.5になります。