「青菜」

暑い季節の代表的な噺です。この噺も真似をしようとして失敗する噺なのですが、よく考えるとただ駄洒落を言いたいだけなんですよね。かっこよさげな形を真似したいのだとも言えますが。
鰯が焦げちゃうよ!と叫ぶかみさんも結局亭主の酔狂につきあってしまうのですから実はかなり出来た女房です。
他の落語好きの方がどう思っているかはよくわかりませんけれど、私はあの旦那はなにか虫が好かなくてしようがありません。表面だけみると出入りの植木職人に酒肴を振る舞って良い旦那に見えるのですが、慇懃な中にそれとなく権威を誇示している感があって、あまりお近づきになりたくない人種に思えます。考えすぎでしょうか。


夏の暑い昼下がりになると決まってこの「青菜」という噺を聴きたくなるのは、旦那んとこ、での涼しげな描写もさることながら、思い立ったらすぐ実行にうつさないではいられない江戸っ子の気質に爽快感を感じられる事が伴っているからかも知れない、と少し思った。


私は4代目魚屋の柳好さんのこの噺が大好きでした。柳橋さんや小さん師匠もよかったのですがまず思い出すのは柳好師匠。飲むとあまり癖が宜しくなかったそうですが、今となっては懐かしい話題でしょうね。