「千両みかん」

先日、みかんを頂いたので食べてみました。小さめでしたがとても甘くておいしいみかんでした。ということで落語好きならば、みなさん思い出すであろう噺が「千両みかん」でしょう。
この噺、若旦那が「恋患い」ならぬ「みかん食べたい患い」で寝込んでしまい、真夏の事なのであろう筈のないみかんを探し求め、漸く一つだけみつかります。さてこみかんを売ってくれ、と言うと「千両じゃなきゃ売らない」と言われますが、大旦那は息子の命を金で買えるなら安いものだ、ってことでポンと千両払います。
早速若旦那に食べさせると、十房あるうちの七房を食べ、みかんのために東奔西走した番頭に残りの三房を渡し、これは一つは父、一つは母、一つは祖母にやってくれ、と言います。
これを聞いた番頭、十房で千両、三房だと三百両、どう勤め上げてもこんな金貰えない、ええい、ままよ、てんで逐電する。
とまあこんな噺です。考えすぎるとわけがわからなくなるような、いかにも落語らしい変な噺で私は好きです。

お薦めは志ん生師匠、実際に聴いた人だと小三治師匠だろうか。笑いを求めるというよりは物語を聴く感覚でなら楽しめると思います。