鰍沢

日々本格的な寒さが身にしみてきます。今朝なぞはお天気みぞれが一瞬降ったくらいです。
冬の落語というのも数限りなくあるわけですが、「鰍沢」は三遊亭圓朝作の三題噺です。
木場の材木問屋近江屋喜左右衛門の「小諸山の護符」「玉子酒」「熊の膏薬」の出題から作ったと言われています。最初は芝居噺として演じていたようです。現在まで代表的な人情噺として数多くの名人、上手に演じられてきました。
比較的短い噺ではありますが、身延山*1帰りに大雪に遭遇した旅人が雪をしのぐために訪ねた一軒家で、昔になじみだった心中未遂の元花魁に命を狙われ逃げ出すまでをきちんと演じきるには、相当の力量を要します。


この手の人情噺なので、実際に聴いた人では彦六の正蔵師匠がまず一番に思い出されます。残念な事に圓生師匠の実演は観る事が出来ませんでした。その他の故人では、馬生、志ん朝の兄弟も印象に残っていますし、存命の方だと小三治師匠、扇橋師匠なども記憶にあります。
これから聴く機会の増す噺なのでとても楽しみです。